馬場伸幸代表が就任して初の党大会を5日に本拠地・大阪で開催した日本維新の会。春の統一地方選で地方議員を1・5倍に増やす活動方針を改めて確認した一方、党の母体である地域政党「大阪維新の会」が最重要視するのが、4月9日投開票の大阪府知事選、大阪市長選のダブル選だ。再選を目指す吉村洋文知事(代表)は市長選に立候補する横山英幸府議(幹事長)とともに市内での活動を本格化。党創設者の松井一郎大阪市長の政界引退を2カ月後に控え、支持固めを進めている。
「選挙は最後に思いの強い方が勝つ」。吉村氏は5日の党大会で、全国各地から参加した統一選の立候補予定者にげきを飛ばし、候補者全員の当選を目指す考えを示した。
昨年のうちに吉村、横山両氏が立候補を表明した維新は、大阪ダブル選に向け着々と準備を進める。1月31日には大阪市東淀川区で市議選、府議選の立候補予定者とともに、支持者向けのタウンミーティング(TM)を開催。統一選の公約に掲げる府内の高校授業料完全無償化など、次世代への投資拡充の重要性を訴えた。
大阪市内でのTMは横山氏が中心となって松井、吉村両氏と各選挙区を巡る。3月18日までに計36回開く予定で、松井氏や吉村氏に比べて知名度が低い横山氏の浸透を図りたい考えだ。
維新が告示前から急ピッチでTMをこなす背景には、松井氏引退への危機感がある。大阪維新の幹部は「維新の内部統制を考えると、松井氏が引退する影響は非常に大きい」としたうえで、「横山という新しい顔を、吉村氏とともに押し上げていかなければならない」と強調する。
松井氏は政治家としては最後となる5日の党大会で閉会のあいさつに登壇。結党当時、党運営の資金繰りに苦労した経験を振り返ったうえで、「『ベンチャー政党』の初心を忘れず、議員の身分にしがみつかず活動してほしい」と呼び掛けた。