ウクライナのゼレンスキー大統領は4日のビデオ声明で、ロシア軍が東部ドネツク州に戦力を次々に投入しているとし、「前線の戦況はいっそう厳しくなっている」と述べた。一方、露国防省は同日、同州内で露軍が前進を続け、「より有利な陣地を確保した」と主張した。戦況は全体として膠着(こうちゃく)しているものの、局所的に露軍が攻勢を強めているとの観測が強い。
一方、英国防省は同日、ウクライナへの供与を決定した主力戦車「チャレンジャー2」の操縦訓練をウクライナ軍の戦車兵が英国で開始しており、「迅速に操縦法を習得している」と発表した。英国は3月末までに同戦車14両を引き渡す意向を示している。
ゼレンスキー氏も同日、同戦車の操縦訓練が開始されたとして英国に謝意を表明。同戦車が「戦場で大きな力となるだろう」と述べ、早期の実戦投入に期待感を表明した。
ドネツク州の戦況に関し、ゼレンスキー氏は、約半年間にわたり攻防戦が続いてきた要衝バフムト▽昨年秋にウクライナ軍が奪還したリマン▽今年1月下旬から戦闘が激化したウグレダル-の各方面で「非常に困難だ」と指摘。その上で「ウクライナ軍の勇敢さと国民の団結、国際社会の支援が勝利を保証する」などと述べ、露軍を撃退する決意を改めて表明した。
露軍は同州内の重要拠点である各都市を制圧した上で、中心都市クラマトルスク方面に進出する戦術を立てている。米欧からウクライナに供与される主力戦車が実戦投入される前に同州全域を掌握するため、露軍が近く大規模攻勢を開始するとの観測も出ている。これに対し、ウクライナ軍は防衛戦を展開して露軍の損害を拡大させ、将来的な反攻につなげる構想だ。