【マニラ=中村雅和】全国で相次いでる強盗事件を巡り、警視庁が特殊詐欺に絡む窃盗容疑などで逮捕状を取りフィリピン当局に強制送還を求めている渡辺優樹容疑者(38)ら4人は同国を拠点とし、2019年に36人が拘束された特殊詐欺グループで主導的な役割を果たしていたとみられている。渡辺容疑者は当時、地元捜査関係者から「ビッグボス」との異名で行方を追われていた。グループの活動はどのようなものだったのか-。
拠点とされた廃ホテルは、マニラ首都圏の南東に位置するマカティ市内にある。同市は「フィリピンのウォール街」と呼ばれ、多くの外資系企業なども進出している。廃ホテルがあるのは市中心部から徒歩で40分ほど。近代的な街並みではなく、古びた平屋などが並び、路地の所々には車の出入りを制限するゲートも設置されるような一角。
多くの車が行き交う3車線の道路に面した7階建ての建物は一角では目立つ。赤い外壁が特徴的だ。