「絶対売れない」→爆売れ Peachの“行き先を選べない”「旅くじ」はなぜヒットしたのか

担当者に話を聞いた

――旅くじを販売する狙いを教えてください。

広報担当者: コロナ禍で厳しい状況だからこそ、街中でお客さまとの接点を持ち、ワクワクできるようなサービスを提供したいと考えて旅くじの提供を開始しました。旅くじをきっかけに「Peachは面白いことやっているな」「そろそろ旅に行きたいな」と、日常生活の中で旅を思い出してもらい、どんどん出掛けてもらえる仕掛けを作りたいと考えていました。

――旅くじの中に入っている「旅のミッション」とは、何なのでしょうか?

広報担当者: 指定された行き先で実際に行ってほしいことをミッションとして記載しています。内容はクスッと笑ってしまう様な遊び心を交えたもの。例えば、東京(成田)-石垣の場合「一番ハンサムな石垣牛探してきて!」、大阪ー沖縄(那覇)の場合「市場のおばあと友達になってきて!」などのミッションを用意しています。

旅のミッションはユニークさを意識(提供:Peach Aviation)
旅のミッションはユニークさを意識(提供:Peach Aviation)

シニアの利用も 3万個販売、新規50%

――実際の利用状況について教えてください。

広報担当者: 利用状況の詳細は公表していませんが、累計約3万個を販売しています(2023年1月現在)。

性別を問わず、若年層を中心に幅広い世代の方にお楽しみいただいています。一人旅やレジャー、帰省、プレゼントなどでご利用が多いですね。学生の方からは「旅行の行き先がなかなか決まらず、旅くじで出た場所に行くことにした」「仲良しグループで旅くじを引きそれぞれ別の行先が出たが、現地からリモートでつなげて楽しむ」という声も。

また、実際に旅くじを使ってPeachを利用した人の約50%は新規利用のお客さまです。SNSで話題になり、テレビなど各種メディアで取り上げられると、LCCを利用したことのないシニア層のお客さまがスマホを片手に来てくれました。これまで少なかった層のお客さまにも、Peachの路線や購入方法などを知ってもらえる機会となっていますね。

購入者の50%は新規利用 シニア層の利用も(提供:Peach Aviation)
購入者の50%は新規利用 シニア層の利用も(提供:Peach Aviation)

――SNSを中心にかなり話題を集めていると思いますが、注目された要因をどのように分析されていますか?

広報担当者: 社内からの「絶対に売れるわけがない」という反対の声もある中でスタートし、「1日1個売れればいい」と思っていたんです。しかし、SNSで旅くじを引く動画が投稿されると、あっという間に話題となりました。21年10月に渋谷で販売した際は、用意した1カ月分の旅くじが3日で完売するなど大きな反響がありましたね。

ここまでの反響は予想しておらず、正直驚きましたね。自分では思い付かない行き先が当たるのが旅くじの醍醐味です。どこへ行くか分からないドキドキ感が、コロナ禍でさまざまな事を我慢していた人々の「何かにワクワクしたい気持ち」にマッチし、旅に出るきっかけになったのではないかと考えています。

――現状何か課題に感じていること、今後アップデートしたいと考えていることなどがあれば教えてください。

広報担当者: 旅くじを通じて、地域(就航地以外を含め)の新しい魅力を発見し、伝えて行くことが重要だと考えています。さらなる需要の創出につなげ、地方創生に貢献していきたいですね。

また、国際線の就航や再開も進めているため、訪日のインバウンド需要も取り込めるような「海外旅くじ」の展開も検討していきたいです。

(ITmedia ビジネスオンライン)

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