韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領が「独自の核武装」に言及し、韓国内外で波紋が広がっている。直近の世論調査では76%が「韓国の核武装」に賛成している。ウクライナ侵略でロシアのプーチン大統領が戦術核を使う可能性が懸念される中、北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記も「核の先制攻撃」を示唆するなど、朝鮮半島で〝核の恐怖〟が現実味を帯びてきたためだ。韓国では冷戦時代、在韓米軍に多数の戦術核が配備され、朴正熙(パク・チョンヒ)政権時には独自の核開発を決意したことがある。韓国には「核で守られた」という記憶がある。
尹氏は1月11日、大統領府で国防・外務省から年頭の業務報告を受けた席上、「北朝鮮の核問題がさらに深刻になった場合は大韓民国が戦術核を配備するとか、独自の核兵器を保有することもありうる」と述べた。「もしそうなれば韓国の科学技術により早期に(核を)保有できるだろう」との見通しも語った。
発言は、米韓両国間で米核戦力の「情報を共有、共同で企画、実行する議論が行われている」という同盟関係に関する流れの中で出たものだが、現職大統領の「独自核」への言及だけに波紋が広がった。米国のホワイトハウスや国防総省は直ちに核兵器の再配備を否定し、韓国の独自開発も批判した。