浪速風

時には撤退する勇気

強烈な寒波に見舞われた1月も過ぎて、きょうは二十四節季(にじゅうしせっき)の「立春」。寒さはまだ続くとはわかっていても、暦の上で春というだけで気分は明るくなる。七十二候(しちじゅうにこう)ではきょうから、「東風解凍(はるかぜこおりをとく)」。春風が冬の間に張った氷を解かし始めるころ、という意味だ

▶春を感じるような暖かさはありがたいが、山では雪崩が、海は時化(しけ)が懸念される。長野県小谷村では、バックカントリースキーを楽しんでいた米国人プロスキーヤーらが雪崩に巻き込まれて死亡した。圧雪されていないパウダースノーは確かに魅力的だが、雪崩の予測と回避の難しさを改めて思い知らされた

▶時に猛威をふるう自然に、私たち人間は打ち勝つ力を持たない。より濃密な自然の中で本格的な遊びを楽しむには、知恵や技術はもとより、時には「撤退する勇気」も必要だ。山や川、海などの素晴らしいアウトドアフィールドを、全身で満喫するためにも。

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