【ワシントン=坂本一之】米国防総省は3日、ロシアの侵略を受けるウクライナに対し、初となる長射程のロケット弾「GLSDB」の供与を含む約21億7500万ドル(約2900億円)の追加軍事支援をすると発表した。春先ともされるロシア軍の大規模攻勢に備え、ウクライナ軍の装備を強化する。
GLSDBの射程は約150キロで、高機動ロケット砲システム「ハイマース」から発射できる。ウクライナ軍が現在ハイマースで使っているものに比べると2倍近い射程とされ、これまで届かなかった標的やロシアの支配地域の深部を攻撃できるようになる。
国防総省のライダー報道官は同日の記者会見で、GLSDBの供与に関し「ウクライナが自国を防衛するための作戦とロシアによる占領地の奪還を可能にする」と指摘した。
追加軍事支援では携帯型対戦車ミサイル「ジャベリン」や対無人機システム、地対空ミサイルの発射機なども供与する。ブリンケン国務長官は声明で「ウクライナ国民を守るために重要な防空や対無人機の能力が含まれる」と強調した。
米国のウクライナ軍事支援は昨年2月のロシアによる侵攻開始後、計293億ドルに達した。
バイデン政権は、ウクライナが求める射程約300キロの地対地ミサイルATACMSの供与については、ロシアへの直接攻撃に使われる可能性を懸念し慎重に検討している。