致死率の高い高病原性鳥インフルエンザの感染拡大が止まらない。殺処分数は1300万羽を突破し、過去最悪となっている。大規模養鶏場で発生が確認された自治体では、100万羽を超える処分に追われ、悲鳴の声が上がる。蔓延防止には都道府県が主体的な役割を担わざるを得ないのが実情だが、現行の家畜伝染病予防法で定めた「全頭処分」の方針に見直しを求める声もある。
前例のない異常事態
鳥インフルは、ウイルスを保有した渡り鳥がシベリアの営巣地から越冬のために南下することで広まる。国内では10月下旬以降に発生するが、今季は過去最も早い9月25日に1例目を確認。野鳥を介して各地の養鶏場に感染が広がり、昨年10月末に岡山県で初めての発生が報告された。これまで感染例がなかった山形や福島、沖縄など6県で発生が報告されるなど、「前例のない異常事態」(環境省の担当者)が続く。