ウクライナ国防省情報総局のチェルニャク報道官は3日までに、英字紙キーウ・ポストの取材に対し、ロシアのプーチン大統領が3月末までにウクライナ東部ドンバス地域(ルガンスク、ドネツク両州)の完全制圧を指示しているとの軍内部の情報分析を明らかにした。
米シンクタンク、戦争研究所は2日、ドネツク州では42%以上の面積をウクライナ側が支配し、ロシア軍が東部でウクライナ軍を撃破できる戦力を補充した根拠も見いだせないとの分析を発表。プーチン氏が自軍の能力を過大評価している可能性があると指摘した。
ウクライナのゼレンスキー大統領は2日のテレビ声明で、ロシア軍がドンバス地域で攻勢を強めていることを受け、軍の補充や訓練状況について検討したと明らかにした。ロシアの「戦略的敗北は既に明らかだ」としつつ「戦術的に攻勢をとる能力は残っている」と指摘し、各国に一層の武器支援強化を要請した。
プーチン氏、ドイツの戦車供与を批判 攻防戦80年で
プーチン氏は2日、第2次大戦の激戦の一つ「スターリングラード攻防戦」の舞台となったロシア南部ボルゴグラードを訪問した。ソ連軍がナチス・ドイツ軍に勝利してから80年の記念行事で「ドイツの戦車レオパルトが再びロシアを脅かしている」と述べ、自国が侵攻したウクライナに戦車供与などの軍事支援を続ける欧米を批判した。
「ナチズムのイデオロギーが現代的な装いでロシアの安全を脅かしている」とし、ウクライナのゼレンスキー政権を非難。侵攻はウクライナを支援する欧米に対抗するための正当な行為だとの考えを改めて強調した。その上で「われわれは欧州諸国の国境に戦車を送ったりはしない。ロシアを相手にした現代の戦争は(以前とは)全く違ったものになる」と述べ、あらゆる手段を使って欧米に対抗する姿勢を強調した。(共同)