米上空に中国の偵察気球　撃墜は見送り監視継続

【ワシントン＝坂本一之】米国防総省は２日、米国本土の上空で中国のものとみられる偵察気球を発見し追跡、監視を行っていると明らかにした。地上の安全を考慮し撃墜は見送った。米軍の核兵器施設がある西部モンタナ州の上空も飛行していて、情報収集が目的だと分析している。

国防総省高官によると、偵察気球は数日前に米本土上空に入り、民間航空機の空路よりも高い高高度で飛行。地上の人々に軍事的、物理的な脅威を与えるものではないとしている。情報収集を阻止するための対策を講じているという。

高官は偵察気球が「機密性の高い場所の上空を通過している」とし、「目的が偵察であることは明らかだ」と指摘。「中国の気球であると確信している」と強調した。

バイデン大統領にも報告され、オースティン国防長官は１日に対応を幹部と協議。撃墜に関しては、破壊された偵察気球の破片が飛散することなどから見送った。米軍は撃墜命令などに備え、ステルス戦闘機Ｆ２２も含めて準備を進めたという。

米側は偵察気球に関し在米中国大使館や在中国米国大使館など複数の外交ルートを使って懸念を伝えた。

偵察気球による米本土上空の飛行は過去数年で数回確認されたが、今回は飛行時間が長いとしている。

ブリンケン国務長官が計画する中国訪問の際の協議にも影響を与えそうだ。

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