1月に死去した石原信雄元官房副長官について、元番記者だった佐藤龍二記者が2日付朝刊の評伝「北ミサイル発射 信念のリーク」で、「国民に知らせるべきだと判断し、信念を持って情報発信した」と書いているのを読み、膝を打った。
確かに石原氏は、官僚の矩(のり)をこえない範囲で、国民に伝えるべきことを何とか伝えようとした人物だといえる。そしてその姿勢により、「慰安婦強制連行説」という虚妄を崩す風穴を開けたのだと考えている。
平成9年3月、ジャーナリストの櫻井よしこ氏が月刊文芸春秋4月号で発表した記事「慰安婦問題はなぜこじれたか」は衝撃的だった。根拠なく慰安婦募集の強制性を認めた5年8月の河野洋平官房長官談話の背景について、石原氏が詳細に証言していたのだった。