【マニラ=森浩】全国で相次いで発生している強盗事件を巡り、フィリピンの裁判所は3日、警視庁が強制送還を求めている日本人特殊詐欺グループ4人=フィリピンの入管施設で拘束中=のうち、藤田聖也(としや)容疑者(38)に対する刑事裁判が棄却されたことを明らかにした。レムリヤ司法相は3日の記者会見で4人を「来週に送還したい」との見通しを述べた。
4人の送還については、フィリピンでの刑事事件の棄却が前提となっている。既に地元裁判所は1月に今村磨人(きよと)容疑者(38)を巡る公訴を棄却。渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)については7日に判断する予定だ。レムリヤ氏は裁判所に対し、渡辺、小島両容疑者を巡る公訴の早期棄却を求める申し立てを行ったことを明らかにした。
レムリヤ氏は「順調に進めば、来週に4人全員を強制送還できるかもしれない」と述べ、「願わくば」8日のマルコス大統領の訪日前に実現したいと強調した。今後、送還の時期を巡って日本側と詰めの協議を行う方針を示した。
また、レムリヤ氏は日本側の捜査に全面的に協力する姿勢を示し、入管施設から押収したスマートフォンを証拠品として提供する考えを明らかにした。4人は施設内から携帯電話の通信アプリを使って犯行指示を出していたとみられ、犯行を裏付ける証拠となる可能性がある。