日本の映画産業界が新型コロナウイルス禍前の水準まで戻りつつある。日本映画製作者連盟(映連)は1月末、令和4年の映画概況を発表した。邦画のみの国内興行収入(興収)は1465億円で、現行の統計方法が始まった平成12年以降では第2位の好成績となった。洋画は665億円で、興収総額は2131億円(前年比512億円増)。コロナ禍前の平均水準の約9割にまで回復した。
昨年の入場者数は1億5200万人(前年比3718万人増)で、公開本数は2年ぶりに1000本を超える1143本となった。
昨年は「アニメの当たり年」(映連)で、興収1位となった「ONE PIECE FILM RED」(197億円)をはじめ、「劇場版 呪術廻戦 0」(138億円)「すずめの戸締まり」(131億円)「名探偵コナン ハロウィンの花嫁」(97億円)などヒット作が相次いだ。邦画で興収100億円超の作品が3本となるのは史上初めてという。
洋画では「トップガン マーヴェリック」(135億円)が100億円を超えたほか、「ジュラシック・ワールド/新たなる支配者」(63億円)が興収50億円超となった。
ヒットの目安とされる興収10億円以上の作品は邦画26本、洋画15本だった。
会見で映連の島谷能成(よししげ)会長は「コロナ禍からまだ癒えていないにもかかわらず、興収100億円以上の作品が4本誕生するという快挙を成し遂げた」と評価した。(水沼啓子)