東京都八王子市の東京都立大南大沢キャンパスで昨年11月、教授の社会学者、宮台真司さん(63)が襲われた事件で、容疑者とみられる死亡した無職の男(41)=相模原市南区=が事件の1週間前にもキャンパスに立ち入り、宮台さんの研究室がある建物に滞在していたことが3日、分かった。男の自宅からは事件後に購入したとみられるナイフも押収。警視庁捜査1課は男が執拗(しつよう)に宮台さんの襲撃機会を狙っていた可能性があるとみている。
捜査1課によると、襲撃事件があった昨年11月29日の1週間前の22日、男は相模原市中央区から自転車で同大キャンパスに向かい、午後2時ごろに宮台さんの研究室がある建物に侵入した姿が防犯カメラ画像に写っていた。
その後、エレベーターなどを使用し、研究室がある階などを行き来。午後4時ごろには校外に出て、近くのコンビニエンスストアに立ち寄っていたが、その約2時間半後に再び同じ建物の研究室がある階に戻ったとみられる。
宮台さんの講義スケジュールや研究室がある場所は、大学のホームページ上に掲載されていた。この日、宮台さんは週1回の講義のために在学していたが、研究室には行っていない。捜査1課は、男が確実に襲撃を実行するため、宮台さんの行動を把握し、襲撃する機会を狙っていた可能性が高いとみている。
男の動機や宮台さんとの接点は明らかになっていないが、これまでに捜査1課は、男の自宅や別宅から宮台さんが共著者の書籍1冊や事件後に購入したとみられるナイフ(全長約40センチ、刃渡り約20センチ)などを押収。新たに1千冊を超える書籍のほか、男が以前使っていたノートパソコンなど3台も押収しており、宮台さんに関連する情報が残っていないか調べる。