大谷、日本製メーカーを「卒業」　ニューバランスと長期契約、シーズン前にモデルチェンジ

米大リーグ、エンゼルスの大谷翔平選手（２８）が、米スポーツ用品メーカーのニューバランス（ＮＢ）と長期契約を結んだ。大谷は日本ハム時代からスパイクなどの道具についてはアシックス、ウエアはデサントと日本のスポーツ用品メーカーと契約していたが、今シーズンを前に日本製を〝卒業〟し、さらなる成長に向けてモデルチェンジを図った格好だ。ＮＢとしても大谷が出場するワールド・ベースボール・クラシック（ＷＢＣ）を控え、日本市場拡大に向けて絶好のタイミングでの契約といえる。

ヤクルトの村上もスパイクを使用

ＮＢは１月３１日、公式サイトやツイッター公式アカウントなどで、大谷との契約締結を発表した。大谷はＮＢを通じて、「プロダクト（製品）が革新的で素晴らしいだけでなく、アスリートが自分らしくいられるような本物のブランドとして知られているグローバルブランドです。彼らとともにゲームチェンジしていけることに興奮しています」とコメント。ＮＢでヘッド・オブ・ベースボールスポーツマーケティングを務めるニール・ブルックス氏も「わたしたちは大谷選手と関係を築いていくことで、彼が夢を実現し、その過程で誰もが知るゲームを真に変えるサポートをすることを楽しみにしています」とコメントを寄せた。

同社は「大谷選手とともにブランドを横断するさまざまな取り組みを実施する予定」としており、今後は同社ブランドのキャンペーンなどにも登場する予定だ。大谷との契約年数や、具体的にどのような道具を使用するかは現時点で未発表だが、米紙ロサンゼルス・タイムズ（電子版）は「今のところ、大谷はアパレル（ウエアなど）のみスポンサーを（ＮＢと）変更する」と報道。大谷のインスタグラムには、ＮＢ製のスパイクを使って打撃練習している動画が投稿されている。

大谷が契約したＮＢは１９０６年、偏平足などを直す矯正靴の製造メーカーとして米ボストンで設立された。２０１０年ごろから米大リーグ（ＭＬＢ）にもマーケットを拡大し、ミゲル・カブレラ（タイガース）ら一流の大リーガーが使用。プロ野球でも昨季セ・リーグで三冠王を獲得した村上宗隆内野手（ヤクルト）が契約し同社のスパイクを使用するなど、日本人のプロ野球選手にも人気が高い。野球以外でも、サッカー男子のサディオ・マネ（バイエルン・ミュンヘン）やテニス女子のコリ・ガウフ（米国）らと契約している。

「２強」を崩す上で「メリット」

大谷は日本ハム時代の２０１４年から、２２年の昨季までにわたり、アドバイザリー契約を結んでいたアシックスのバットやグラブ、スパイクを使用。「シーズン２桁勝利、２桁本塁打」を達成した昨季も、改良を重ねた同社のグラブとバットで快挙を達成した。

大谷との契約について、アシックスは産経新聞の取材に「大谷選手の契約に関することにつきましては、お答えできかねます」と回答。ただ、同社がアドバイザリー契約を結んでいる選手を公式サイトで紹介している「アシックスアスリート」からは、大谷選手の項目が削除されていた。一方、デサントは産経新聞の取材に「（大谷選手とは）契約満了となります」と回答した。

シーズンを前にスポーツ用品メーカーを変更したことについて、大リーグ評論家の福島良一氏は、「常に挑戦し、高いパフォーマンスを発揮したいことへの表れではないか。大谷選手としてはさらに成長する上で、いろいろな試みをしたいのだろう」とした上で、「大リーガーが（契約する）メーカーを変更することは、さほど珍しいことではない」と指摘する。

マーケティングや情報提供サービスなどを行う「スパコロ」が令和３年に実施した「スポーツブランドについての調査」によると、日本国内での直近１年の購入率はアディダス（３１・２％）、ナイキ（２９・４％）に次いで、ＮＢが３位（１９・４％）となった。ただ、国内のスポーツブランドはアディダス、ナイキの「２強」が占めている現状でもあることから、福島氏は「大谷選手との契約によって（ＮＢの）認知度もさらに上がるだけに、日本の市場を拡大する上でメリットがあるのでは」と推察する。

大谷はバットについても米国製メーカーとみられるバットを練習で使用している様子が自身のインスタグラムで投稿されており、今シーズンからは新たな仕様のバットを使用するとみられる。日本製から米国製の道具へと一気にモデルチェンジした大谷の姿は、ＷＢＣがお披露目の舞台となりそうだ。（浅野英介）

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