学校で変なことを教えないでもらいたい。授業の実践報告が行われた日教組の教研集会で、偏向した指導の例が明らかになった。
「平和教育」の分科会では、政府が世界文化遺産の登録を目指す「佐渡島の金山」(新潟県)を巡り、朝鮮半島労働者の人権問題と関連づけ、労働の強制性を強調するような学習の報告があった。
佐渡金山のある新潟県の高校教員が「(自主学習で生徒らは)事実を学んだ」という。だが、教員のリポートで示された「資料」は、勤労動員の強制性や賃金差別などを指摘するものが多い。
「募集」や「官斡旋(あっせん)」「徴用」と名称は変化しても「強制的に連行した事実においては同質」などとする文献も持ち出した。いったいどこの国の学習指導なのか首をひねる。
政府は令和3年に、朝鮮半島から日本への労働者動員に関し「強制連行」の表現が不適切とする答弁書を閣議決定している。教員ならそれを知らないはずはない。
佐渡金山は江戸時代、採掘から製錬まで伝統的な手工業で行われた産業の場だ。なぜその意義を分かりやすく伝えないのか。
自虐史観が拭えないのは、組合教員にとどまらない。今春から高校で使われる歴史教科書の検定では、朝鮮半島からの勤労動員に関し、ひとくくりに「強制連行」「連行」といった不適切な用語を使った記述が修正された。授業に反映させ、生徒らに噓を教えないでもらいたい。
「平和教育」分科会ではロシアのウクライナ侵略について授業でどう扱うか苦心する教員の声もあった。一方で「いまこそ反戦教育を」などと的外れの意見も相変わらずある。先人が築き守ってきた国の歴史を教員が誇れないのなら、ウクライナの人々が命懸けで国を守る現状は教えられまい。
「保健・体育」分科会では、中学の養護教員から教育現場で進む情報通信技術(ICT)化に対し、「管理・監視社会化~プライベートが丸裸に」「ビッグデータ~一生管理され、人格が乗っ取られる」などとする偏ったリポートもあった。情報技術が進めば、教員の仕事まで「乗っ取られる」と心配しているのだろうか。
教員の一面的、独善的思想を押し付けては子供たちが混乱し、理解を損ねるだけだ。