千葉県は令和10年度末に予定する成田空港の機能強化に向け、空港周辺9市町の交通の要衝付近にある農地を物流施設などに転用しやすくする土地利用規制の緩和で、国と合意した。農地の転用は農地法などで厳しく制限されるが、農林水産省が特例として、全国初となる地域未来投資促進法の弾力的な活用を空港周辺で容認。東アジアにおける航空貨物の拠点化に向け、大きな前進となる。
熊谷俊人知事は2日の定例会見で「非常に良い結論。われわれの提案を農水省が認め、十分な配慮をしていただいた」と歓迎した。
対象となる9市町は成田、富里、香取、山武の各市と栄、神崎、多古、芝山、横芝光の各町。空港の出入り口や高速道路のインターチェンジ、国道と国道の交差点の周辺など計20カ所程度の周辺約3~5キロのエリアの中から、地権者や事業者の意向もふまえ、県と市町が共同で令和5年度中に重点促進区域を設定する。
これに先立ち、県は今年度末までに9市町を「促進区域」として、物流分野での国際的な産業拠点を目指す基本計画を作成。計画を受け、農水省が同法の弾力的活用を認める通知を発出する見通し。
農地の活用をめぐり、県は国家戦略特区の実現を目指していたが、同法の活用でも「目的は達成できる」(県担当者)として方針転換。熊谷知事は「成田空港周辺の特殊性を認めた全国初の規制緩和で、こちらの方がわれわれにとってはスペシャルだ」と話した。