死亡の男の自宅に宮台さん書籍 公開捜査に両親「息子と確信」

警視庁が殺人未遂容疑で行方を追っている男の画像。東京都立大南大沢キャンパス近くの住宅街の防犯カメラに写っていた=2022年11月29日午後4時20分ごろ、東京都八王子市(警視庁提供)
警視庁が殺人未遂容疑で行方を追っている男の画像。東京都立大南大沢キャンパス近くの住宅街の防犯カメラに写っていた=2022年11月29日午後4時20分ごろ、東京都八王子市(警視庁提供)

東京都八王子市の東京都立大南大沢キャンパスで昨年11月、同大教授の社会学者、宮台真司さん(63)が襲撃された事件で、容疑者とみられる死亡した無職の男(41)=相模原市南区=の自宅から、宮台さんが共著者の書籍1冊が見つかったことが2日、分かった。父親が購入後に自宅で保管し、男も読める環境だった。また、警視庁が2回目に男の画像を公開後、両親が息子と気付いていたことも判明。捜査1課は、男が犯行に及んだ背景など経緯を調べている。

捜査1課が1日に男の自宅を家宅捜索した結果、複数冊押収した書籍の中から、宮台さんが共著者である書籍1冊が見つかった。購入者は父親で、自宅リビングに置かれていた。男が読んだかは不明だが、男も読める環境だったという。

ほかにも、ナイフ(全長約40センチ、刃渡り約20センチ)1本と包丁2本、ハードディスクなど約50点を押収。家族によると、ナイフは男が事件後に購入したものとみられ、未開封の状態で物置部屋から見つかった。捜査1課は、男が宮台さんを再び襲うため、新たに購入したものとみている。

男が寝泊まりに使用していた別宅からは、おの(全長約30センチ、刃渡り約10センチ)と包丁3本、自転車2台など20点を押収した。

家族によると、警視庁が防犯カメラに写る男の画像を昨年12月12日に公開後、男は食事を取らなくなり、身辺整理を始め、自身のノートパソコンも「壊れたから捨てた」と処分したという。携帯電話は契約していなかった。

捜査1課の事情聴取に対し、両親は同月12日まで男の異変には気付かなかったとするが、母親は公開画像を見て「息子によく似ている」と認識していたという。今年1月27日に追加で公開された画像では、男の特徴が息子と一致し、両親ともに「息子に間違いないのでは」とほぼ確信したという。一方、「犯人ではないと思いたい気持ちがあった」ため、通報はしなかったと明かした。

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