米連邦準備制度理事会(FRB)が1日の連邦公開市場委員会(FOMC)で決めた主要政策金利の利上げ幅は前回会合から縮小し、利上げペースの鈍化が鮮明となった。今後、日米の金利差が縮まるとの見方から、運用が有利となる円が買われ円高ドル安が進む可能性がある。日本経済にとってのメリットは輸入されるモノの価格が落ち着き、原材料を輸入に頼る企業のコスト負担が和らぐことだが、円高が急ピッチで進めば、輸出が柱の企業にとり逆風となる。
FOMC後の外国為替市場では金利差縮小の観測からドルが売られて円が買われた。東京市場の円相場は2日午前10時現在、前日比1円73銭円高ドル安の1ドル=128円44~47銭。
りそな総合研究所の荒木秀之主席研究員は「次回かその次のFOMCで利上げは打ち止めになるとみられている。米国の消費者物価が順調に落ち着けばそれが確実となり、金利差縮小が意識され円安修正が進みやすくなるだろう」とみる。
今の日本は円高に振れるメリットが大きい。部品や食品のメーカーなどは、輸入している原材料価格の上昇が鈍化したり下落したりし、負担が和らぐ。電気代やガス代も落ち着き、とくに価格転嫁できない中小企業には追い風。国内の物価上昇も緩和され、消費者心理の改善が期待できる。
一方、円高になると相対的に日本の製品が高くなるので、輸出で稼いでいる企業の業績には不利となる。
いまなお中長期的にみれば円安水準なので「少々円高に振れても、日本の輸出にとり、そこまで不利にはならない」(荒木氏)。ただ、輸出に頼る自動車大手などは、業績見通しなどの前提とする為替レートを1ドル=130~140円程度としているところも多く、これを超える円高が急速に進めば収益が目減りすることになる。(山口暢彦)