「成果挙げてきた」日銀・若田部副総裁が大規模緩和の効果主張 政策修正論を否定

静岡県金融経済懇談会後の記者会見で大規模金融緩和の効果を主張した、日本銀行の若田部昌澄副総裁=2日、静岡市葵区(根本和哉撮影)
静岡県金融経済懇談会後の記者会見で大規模金融緩和の効果を主張した、日本銀行の若田部昌澄副総裁=2日、静岡市葵区(根本和哉撮影)

日本銀行の若田部昌澄副総裁は2日、静岡市内での地元経済界との懇談会で、10年間に及ぶ大規模金融緩和策について「さまざまな面で成果を挙げてきた」との見解を示した。若田部氏は3月に任期満了を迎えるが、2%の物価上昇目標の達成にはなお時間がかかるとして「引き続き金融緩和を着実に進めていく必要がある」との考えを述べた。

若田部氏は懇談会冒頭のあいさつで、大規模緩和の成果として、経済成長の復活や雇用の増加などが起きたと指摘。仮に緩和を行わなかった場合は「経済成長率は低迷し、物価もデフレ的な状態が続いていた」と政策の正当性を強調した。

ただ、平成25年1月に定められた2%の物価上昇目標はいまだ達成できておらず、足元では目標の位置づけを見直すべきだとの議論が活気を帯びる。経済界などの有志が政策を提言する「令和国民会議」(令和臨調)は先月30日、2%目標を長期の目標として見直すことを求めている。

若田部氏はこの指摘について「物価安定の目標を曖昧にすることは、金融政策の透明性、さらには政策効果を損ないかねない危険性がある」と反論。懇談会後の会見でも「金融緩和に効果はあったという事実を踏まえて議論がなされるべきだ」と主張した。

会見ではさらに、大規模緩和終了のための根拠となる賃上げについて「(今年)1回の春闘では情報量が足りない」と語るなど、市場の政策修正へ向けた観測を一蹴した。その上で「(政策の)検証よりも、まず足元の政策をきちんと遂行しなければならない」と述べ、大規模緩和を継続する姿勢を鮮明にした。

若田部氏は金融緩和に積極的な「リフレ派」。平成30年3月に日銀副総裁に就任し、今年3月に5年間の任期を終える。

会員限定記事会員サービス詳細