法制審議会部会は2日、戸籍の氏名に読み仮名を付ける要綱案をまとめた。新型コロナウイルス支援給付金の支給遅れの一因になったと指摘されるなど、戸籍への読み仮名記載はもともと、行政サービス向上の要請から始まった。要綱案では命名に関するルールも設けられたが、1つの漢字に原則、1つの読み方をあてる中国と違い、多様な漢字の読み方をしてきた日本の文化と歴史を尊重し幅広く裁量を認めたのも特徴といえる。
戸籍の「読み仮名問題」が取り沙汰されたのは、令和2年の新型コロナの感染拡大に伴う10万円の定額給付金の支給が大幅に遅れた問題だった。
戸籍に読み仮名がない一方、銀行口座には名前がカタカナで登録されている。表記がバラバラで個々の情報を有機的につなげられず、多くの自治体は手作業で確認を余儀なくされた。政府は同年12月、「デジタルガバメント実行計画」を改定し、戸籍の読み仮名記載を目標化していた。