「北朝鮮といえば、この前、日本海に弾道ミサイルを発射したようですね」
私と並んで話しながら、地下鉄半蔵門線永田町駅構内の階段を上っていた石原信雄内閣官房副長官が切り出した。平成5年(1993年)6月11日、担当記者(番記者)として、石原氏の電車通勤に同行するかたちで、朝回り取材をしていたときのことだ。
当時、懸案だった仏から日本へのプルトニウム海上輸送の護衛態勢についてやり取りをしている中で、石原氏は「リビアや北朝鮮には(核兵器に転用可能なプルトニウムが欲しい)独裁者がいますからね」と話した後、ミサイルの話題に言及したのだった。