九州電力750億円赤字予想 燃料価格高騰、原発停止で

業績の見通しなどを説明する九州電力の池辺和弘社長
業績の見通しなどを説明する九州電力の池辺和弘社長

九州電力は令和5年3月期の連結業績予想で、最終損益が750億円の赤字となる見通しを発表した。前期は68億円の黒字だった。ロシアのウクライナ侵攻に伴う燃料価格の高騰や、原発の稼働減少で3年ぶりに赤字に転落する。期末配当も見送り、通期無配は8年ぶりとなる。一方で家庭向け規制料金については「できる限り今のままで頑張りたい」と値上げ回避の意向を重ねて表明した。

管内では玄海原発3、4号機(佐賀県玄海町)でテロ対策のための「特定重大事故等対処施設」の完成が設置期限に間に合わず、運転を長期間停止した。赤字幅は平成26年3月期の960億円に次ぐ規模で、当時は、東日本大震災後の原子力規制委員会の安全審査に伴い、管内の原発4基が長期停止していた。

合わせて発表した令和4年4~12月期連結決算は、売上高が前年同期比31%増の1兆5675億円、最終損益は894億円の赤字(前年同期は359億円の黒字)だった。火力発電用などの燃料費が前年同期比で3・2倍と増大し、原発停止に伴う燃料費への影響額は590億円に上った。

記者会見で池辺和弘社長は、テロ対策施設の完成で、来期は原発が4基稼働することを説明。家庭向け電気料金の値上げに関しては「今期の業績はよくないが、来期は原子力(発電)が動き、なんとか今の電気料金の体系でやっていけると思う。九州のみなさんの信頼があり、原発を運転できている。できる限り今の料金で頑張りたい」と述べた。

また池辺氏は、社員が新電力の顧客情報を不正に閲覧していた問題に関し「電気事業に疑念を抱かせる事態となっており、深くおわびする。コンプライアンス(法令順守)が浸透していなかった」と陳謝した。

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