乳母車を日本に紹介したのは、福沢諭吉だといわれている。1867(慶応3)年に再訪した米国から、大量の書物とともに乳母車を土産として持ち帰った。門下生たちは実際に福沢の4歳と2歳の息子を乗せて散歩していた。
▼海外旅行が当たり前の現代でも多くの日本人は海外出張の際などに、家族や会社の同僚のために土産を買ってくる。もっとも外遊から帰った首相が、閣僚たちに土産を配る。そんな慣習があるとは知らなかった。ことの起こりは、岸田文雄首相一行が先月行った欧米諸国歴訪をめぐる、週刊新潮の報道である。
▼政務秘書官として随行していた長男の翔太郎氏が、公用車を使って観光を楽しむ様子をくわしく報じている。記事の中で翔太郎氏は、土産を買うのが目的だったと弁解していた。複数の閣僚が昨日、土産を受け取ったと発言した。話のつじつまは合っている。