大手予備校「河合塾」は今春、高卒生を対象にした「大学受験科」を大改革する。定評あるプロ講師の対面授業、進路指導・生活指導で生徒をサポートするチューター制度などに加え、学力定着メソッドの1つである「完全習得タイム」を導入する。授業が「わかる」から入試で「できる」に高める新機軸の威力を、現場の講師、校舎長に語ってもらった。
「大学全入時代」だからこそ問われる「伸ばす力」
少子化などを背景に志願者数が入学定員に接近し、選り好みをしなければ進学できる「大学全入時代」。河合塾が文部科学省の学校基本調査などをもとに行った分析・予測によると、2023年はついに、志願者数が入学定員を下回る可能性があるという。
実際、捲土重来を期す既卒生の占有率は減少傾向にある。グラフ1のように、1994年の大学入試センター試験では、受験生全体の3人に1人が既卒生だった。30年を経た今年、大学入学共通テストで、既卒生は7人に1人程度にまで減少している。
もちろん、「全入=第一志望合格」とは限らない。グラフ2のとおり、どこかしらの大学に現役合格したうえで、第一志望に再チャレンジする「合格浪人」の比率も年々高くなっている。予備校にはこれまで以上に、「夢を追求する大きな決断」に応える「合格させる力」が、厳しく問われている。
学んだ内容の定着、活用に「責任を持つ」
2023年に河合塾が導入する「完全習得タイム」。同塾によると、毎週各教科90分、最大20名という少人数のクラスでタブレットを使い、授業に連動した分野の演習問題から自分の理解度に合ったものを選んで解き、授業で習ったことを自分で定着・活用できるまで学習する。これを繰り返し、わからないところは教室内にいる講師にその場で質問できる。
河合塾は完全習得タイムの導入で、「授業の提供で終わらず、学んだ内容が確実に定着し、活用できるところまで責任を持つ」と強調する。そして、「河合塾を選んでくれた生徒の第一志望合格を確実に実現し、将来も学び続けていける『考え方』『価値観』『学習法』を身につけられる予備校を目指す」と力を込める。
質問しやすい環境。まず学習法を確立する
完全習得タイムは単なる自習時間ではない。受験生の多くに欠けている「わかったつもりで終わらない正しい学習法」を、早い段階で確実に身につけさせる効果が期待される。2022年、新宿校で先行実施した数学科の今田江美講師、最上芳光校舎長に、意義と効果を語ってもらった。
――完全習得タイムは実際に、どのように行われるのですか?
今田講師 授業で使う各テキストの内容をもとに、2週間後に後追いという形で作成された問題が用意されており、そこから講師のアドバイスをもとに、一人ひとりが必要な問題を選択し、演習に取り組みます。難度の高い大学を目指す人、文系生で数学は共通テストだけという人、一人ひとり学習課題が違いますので解いてほしい問題は違います。
数学の場合、解法が思いつかないときのために「ヒント」も用意されています。また、答え合わせをした後は、きちんと理解できたか、どんな疑問を抱いたかなど、講師が生徒の状況を細部まで確認し、アドバイスします。
疑問点は抱え込まず、その場で講師にどんどん質問できます。授業でわからなかったところなど、演習以外の質問も大歓迎です。基本的に答案は提出しなくてよいのですが、「ちゃんと記述ができているか不安で・・・」と見せにくる生徒もいますよ。
――実施してみて、完全習得タイムをどう評価しますか?
今田講師 普段から「わからないところは、質問においでね」と言っていますが、「講師室はハードルが高い」「こんなことを先生に質問するのは申し訳ない」という生徒も結構います。完全習得タイムは少人数ですから、普段は質問しない生徒にこちらからアプローチできますし、個々の生徒の到達度を把握したうえでサポートできますので、すごくいい時間だと思います。
最上校舎長 「勉強した内容なのに、入試で答えにたどりつかなかった」「テスト後に解答を見たら、勉強した内容だったと思い出した」といった生徒の声が本当に多いですね。だからこそ、授業が「わかる」から入試で「できる」に変え、力をつけていく完全習得タイムの必要性を実感しています。
満足度91% 復習のやり方も相談できる
――先行実施で授業を受けた生徒へのアンケートでも、「何が身についていないか認識でき、演習量も増えた」(大阪・上本町校)、「時間をおいて、基礎的な問題をやることで、効率的に復習できるようになった」(福岡校)、「先生が質問に丁寧に応じてくれて、説明もわかりやすかった」(札幌校)など好評です。満足度は91%と高いようですね。
今田講師 講師にとっても、じっくり生徒と関わり、細やかな指導、サポートができる90分です。5講、6講と授業が進んでしまってからではなく、早い段階で「勉強の仕方がわからない」「思っていた以上に予習・復習が難しい」といった不安に気づき、相談に乗れたことはすごくよかったです。「完全習得タイムなら気軽に質問できる」という生徒も多いですね。
最上校舎長 引っ込み思案な生徒がいれば、進路指導・生活指導を担当するチューターから先生に声かけをお願いすることもあります。質問や相談が気軽にできることによって、早い段階で復習の仕方を先生に聞ける、というのは大きいですね。授業の疑問点はともかく、先生に勉強のやり方を尋ねるのは、結構ハードルが高いようです。
学習のサイクルをつくり、先生のアドバイスを受けながら、秋くらいにはしっかり自走できるようになる、というのが完全習得タイムの目的のひとつです。
何となく、不十分な復習をしていた生徒も、自分に合った復習の仕方、演習問題の選び方を教えてもらえます。さらに、完全習得タイムの演習問題は復習の最良ツールなので、復習の「質」と「効果」が上がっていると思います。
今田講師 そうですね。4月、5月はまず勉強への取り組み方、6月あたりで復習がたまってくる時期には、やるべきことの優先順位のアドバイスが重要です。もちろん、普段の授業でも話をしていますが、頭でわかっていてもなかなか行動に移せない生徒に、必要なタイミングで大切なことを徹底できるのは大きいです。
予習・復習には適切なやり方があります。例えば数学の場合、まずは問題の流れを把握する、次はどうにか解いてみる、そして解説をヒントに正しく解く、という手順を3回くらい繰り返します。こうして、何も見ずに解けるようにしていくとかですね。
生徒の状況に応じて、予習・復習のどちらにウエイトを置いた方がいいかアドバイスしたり、力はあるのに復習の習慣がない生徒には「ちゃんと復習すれば、まだまだ伸びるよ」と声かけしたりしています。
最上校舎長 授業を聞いて「わかった」つもりでも、自分の実力を測る模試で解けなくて「わかっていなかった」と気づく生徒は多いですね。我々も今までは模試の結果が出るまで把握できないこともありました。でも完全習得タイムなら、授業の2週間後に演習で「できていない」ところが確認できます。チューターも後手、後手に回らず、即座に「もう一度しっかりと」踏み込んで指導できますね。
やり切れてなければ、再チャレンジで燃焼
――第一志望合格を果たせなかった現役生へのアドバイスはありますか?
最上校舎長 現役時の受験勉強を振り返って、やり切ったかどうかを確認してほしい。高校生は部活や学校行事を楽しむことも大事です。そのようなことも含めて振り返り、受験勉強をやり切ってなかったな、と思うなら、ぜひ再チャレンジしてほしいです。気持ちを切り替えて受験勉強に集中した結果、偏差値でいえば20以上伸びて志望校に進学を果たした生徒もいますし、「浪人してよかった」という生徒も本当に多いです。
それから、将来の進路が定まっていない生徒は、受験勉強とともに将来の職業をいろいろ調べ、考える時間にもなります。過去に、「何となく建築士志望」だった生徒が浪人して自分を見つめ直し、「一番やりたいのは農学部」と志望が変わり、勉強にも一層熱が入って、農学部に合格したケースもありました。こうした生徒は大学入学後、生き生きした表情で校舎に顔を出してくれますよ。
すべてが揃い、個を大切にする予備校がベスト
――最後に、予備校選びのポイントを教えてください
最上校舎長 知識量、演習量の不足を立て直し、1年間で力をつけ、確実に合格に導いてくれる予備校を選ぶべきですね。河合塾に関していえば、
・入試をよく知るプロの講師の授業で、知識量の不足を補える
・演習によって「わかる」を「できる」に高められる
・生徒任せでなく、必要なときに講師とチューターがしっかりサポートする
その他多くのサービスがそろっていますが、一方通行の授業から脱却して個への対応力を高め、着実に成績を伸ばすカリキュラムが特長です。大切な時間とお金を使うのですから、妥協せずに、いろいろなものが完備されている面倒見の良い予備校で1年を過ごしてほしいですね。
※完全習得タイムは大学受験科のみ実施しています。

『ユニット英単語2200』プレゼント実施中
抽選で計50人に、これから重要視される英語4技能に欠かせない2200単語を厳選した『ユニット英単語2200』(河合出版)をプレゼント。下記の申込フォームから応募を受け付け中(2月28日受付終了)。
→プレゼント応募フォームはこちら
※応募には産経iD(無料)が必要となります。予め、ご了承ください。
提供:河合塾