【北京=三塚聖平】中国が、海上警備を担う中国海警局(海警)の武器使用権限を明確化した海警法の施行から1日で2年となった。軍艦を改修して海警へ移管するなど艦船の規模と装備の増強を進めており、力を背景に周辺国に対する圧力を増している形だ。組織のトップも海軍出身者が続いており、装備、組織の両面で「第2海軍」化が着々と進んでいる。
昨年9月、中国海軍の056型コルベットが海警に移管され、3隻が訓練に参加したことが明らかとなった。中国共産党機関紙、人民日報系の環球時報(英語版)は「中国の主権、安全、海洋権益を守る能力を大幅に高める」との見方を伝えた。海警は昨年11月、過去最大とみられる76ミリ砲を搭載した艦船を尖閣諸島(沖縄県石垣市)周辺の領海に侵入させた。
海警法では、装備の強化を国が「保障する」と規定しており、それを根拠に艦船の増強を積極化させたとみられる。海警は保有する艦船の全体像を明らかにしていないが、日本の海上保安庁によると2021年12月時点で満載排水量1千トン級以上の艦船は推定132隻。12年の40隻から3倍以上に増え、海軍からの艦船移管を昨年進めたことなどにより約150隻の規模を整えたという見方もある。