米国務省は1月31日、ロシアとの間で唯一残る核軍縮合意、新戦略兵器削減条約(新START)に基づく相互査察の受け入れの義務を「ロシアが果たしていない」と非難した。査察再開に向けた会合をロシアが一方的に延期したとし、早期開催を改めて要求した。
国務省は「米ロ間の核軍備管理が脅かされている」と指摘。「ロシアの査察官が米国を訪れて査察を実施するのを妨げるものは一切ない」として、米側は義務を果たすと強調した。
ウクライナを巡る米ロの対立激化を踏まえ「衝突回避のためのガードレールづくりが最重要な時だからこそ、核軍備管理が何よりも大切になっている」として、条約履行を呼びかけた。
ロシアはウクライナ侵攻後の欧米による対ロ制裁を理由に昨年8月、条約が定める核兵器関連施設の査察受け入れの停止を発表。再開を話し合うはずだった昨年11月の米ロ会合も延期した。
下院外交委員会のマコール委員長らが今年1月下旬、ブリンケン国務長官らにロシアの条約履行状況を確認するよう求めていた。バイデン政権は下院にもロシアによる条約の不履行を報告した。
新STARTは2011年2月に発効し、戦略核兵器の配備数を米ロ軍縮史上、最低水準に制限した。21年1月に5年間の延長が合意され、26年2月まで有効。