平安時代の歌人で琵琶の名手と伝わる蝉丸を祭る関蝉丸神社(せきせみまるじんじゃ)(大津市逢坂)で1日、修復工事の起工式が行われた。同神社氏子や同神社復興支援奉賛会、施工業者ら関係者約30人が参列。工事の順調な進捗(しんちょく)と安全を祈願した。
同神社は一時期の宮司不在や台風被害で本殿や回廊などの腐食が進み、雨漏りをシートで食い止めるという窮状にあった。
修復工事では、8年前の台風による倒木で穴の開いた本殿屋根の保存修復▽唐門の解体修理▽回廊の改修▽幣殿(へいでん)の解体撤去▽鎮守の杜(もり)の整備―を実施するという。完成予定は今年6月末。
ただ、同神社のすべてを修復するには1億円は必要とされる。同神社では一昨年、昨年とクラウドファンディング(CF)で費用を募ったが、一昨年は約700万円(目標3000万円)、昨年は約500万円(同1250万円)と目標にはまったく届かず、今回の工事も完全な修復には程遠いという。
同神社の橋本匡弘(まさひろ)宮司(47)は、「みなさんの支援で修復工事に取り掛かれる。しかし、今回の修復は保存修理だけで、現状維持に過ぎない。引き続き支援をお願いしたい」と話していた。
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関蝉丸神社支援の問い合わせは、滋賀県神社庁内の橋本宮司(077・524・2753)。