串本ロケット打ち上げ、また延期 2月末→夏ごろに 和歌山

報道関係者に公開されたスペースポート紀伊=昨年12月、和歌山県串本町
報道関係者に公開されたスペースポート紀伊=昨年12月、和歌山県串本町

本州最南端・和歌山県串本町にある日本初の民間ロケット発射場「スペースポート紀伊」から第1号機を打ち上げる計画について、事業を進める宇宙事業会社「スペースワン」(東京)は31日、一部の部品調達ができていないとして、打ち上げ時期を2月末ごろから夏ごろに延期すると明らかにした。延期は今回で3回目。県や地元自治体の関係者からは落胆の声があがった。

第1号機の打ち上げについて、スペースワンは当初、令和3年度内(4年3月まで)としていたが、コロナ禍による物流停滞を理由に4年末ごろに変更。さらに同様の理由で昨年10月には、今年2月末ごろに再延期していた。

この日、県や地元自治体、経済団体などで構成する「スペースポート紀伊周辺地域協議会」の臨時総会が町内で開かれ、スペースワンの阿部耕三取締役が3回目の延期を報告した。

阿部取締役は第1号機の打ち上げについて「コロナ禍で世界的に物流が混乱し、想定していた時期に部品調達ができなくなった」などとして「本年夏ごろを目指したい」と説明。具体的な時期については「3月中の部品の調達状況を見極めて4月ごろに説明したい」とした。また「度重なる延期の報告になり、地元の方々におわび申し上げる」と陳謝した。

 ロケット第1号機の打ち上げ延期が報告された「スペースポート紀伊周辺地域協議会」の臨時総会=和歌山県串本町
ロケット第1号機の打ち上げ延期が報告された「スペースポート紀伊周辺地域協議会」の臨時総会=和歌山県串本町

これに対し、協議会長の下宏副知事は「4月の時点で確実な打ち上げ時期の説明をお願いする」と要望し、「地元は大変期待している。残念な気持ちでいっぱい」などと述べた。

協議会終了後、阿部取締役は記者団の質問に応じ、調達できていない部品は「一部」とし、「一つでも部品が届かないと、打ち上げはできない」と説明。今回の延期の理由については「コロナで人が足りないとか、物流の混乱とか、いろんなことが重なっている」とした。

串本町の田嶋勝正町長は「期待していたので残念。町民の機運が盛り上がってきて、いよいよ来月という雰囲気の中で『また延びたか』と町民のモチベーションが下がるのが少し怖い。夏に向けて機運を盛り上げたい」と語った。

スペースポート紀伊はすでに完成しており、昨年12月には施設内が報道関係者に公開された。

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