棋聖、王位、叡王、竜王のタイトルを順に持っていた五冠の藤井聡太(20)は昨年2月、王将戦にも勝ち、19歳6カ月という史上最年少で五冠を獲得した。
一夜明けた記者会見で藤井は、自身の現在地について、富士山登山に例えてどのあたりまで登っているかと聞かれた。報道陣は「8合目」とか「麓(ふもと)」といった回答を想像しただろう。しかし、藤井は「将棋は奥が深いゲーム。どこが頂上なのか全く見えない」とした上で、「森林限界の手前というか、まだまだ上の方には行けていないと思う」と答えた。
森林限界-。高山などで高い木が育たなくなり、森林ができなくなる境界線をいう。富士山では5合目付近だから、藤井は「富士山でいうとどのあたりか」と聞いた記者の質問にきちんと答えているのだが、この場面で地学の専門用語が飛び出したことに多くの人が驚いた。