【ワシントン=大内清】中東歴訪中のブリンケン米国務長官は30日、エルサレムでイスラエルのネタニヤフ首相らと会談し、独立したパレスチナ国家の建設による「2国家共存」案を支持する立場に変わりはないと強調した。また、パレスチナ人の男が27日にエルサレム北部のシナゴーグ(ユダヤ教会堂)で7人を殺害したテロを非難し、イスラエルとパレスチナ側の双方に緊張の激化を避けるよう自制を求めた。
対パレスチナ強硬派のネタニヤフ氏は昨年末、約1年半ぶりに政権に復帰した。極右政党も参加する同政権は「イスラエル史上最も右寄り」とされ、同氏が進める占領地ヨルダン川西岸での入植政策などに反発するパレスチナ側との衝突が懸念されていた。
会談後の共同記者会見でブリンケン氏は「(2国家共存の)構想から遠ざかることはイスラエルの長期的な安全を損なう」と述べた。一方、27日のテロへの報復を示唆していたネタニヤフ氏は、イスラエルとアラブ諸国との関係正常化を拡大することが「パレスチナとの実行可能な解決を達成する助けになる」と述べるにとどめ、2国家共存案への言及を避けた。
両氏は会談で、ウクライナへの侵攻を続けるロシアにイランが自爆型ドローン(無人機)を供給している問題についても協議した。イランの核保有を許さないとの認識を再確認し、同国による武装勢力支援などに対処するための協力強化なども話し合った。