ソウルからヨボセヨ

韓国のファクス活用法

行政サービスなどのデジタル化が進む韓国に赴任して2年弱。日本では今も健在のファクスを支局の外で目にする機会は一度もなかったが、今回、ファクスの思わぬ〝活用法〟を聞いた。それは、党代表選を3月に控える与党「国民の力」の関係者からだった。

同党はオンラインで党員加入が可能で「手続きは3分で終わる」と宣伝する。近年は党費月1000ウォン(約105円)を払えば、党の主要選挙などに参加できるよう規定を改正した。一方、脱党手続きには「郵便またはファクス」による自筆の申請書提出を求め、オンラインでは受け付けない。

若者が加入しやすく、脱党しづらいシステムにより、同党は〝若返り〟に成功。昨年夏までの1年で、4%だった20代党員の割合が8%まで倍増したという。党関係者は「彼らはファクスの使い方も分からないだろう」と笑う。最大野党「共に民主党」も同様に、党員加入はオンラインで行う一方、脱党手続きではファクスの利用を求めている。

新型コロナウイルス禍では、ファクスを通じ感染者数を集計する日本の状況を、驚きを持って報じていた韓国。約15年前の入社当時には取材先との連絡手段の中心でもあったファクスが〝前時代〟の象徴として扱われることに、やや複雑な思いだ。(時吉達也)

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