通信障害対策方針転換 総務省、通信事業者に外部監査検討

総務省や警察庁などが入る合同庁舎=東京都千代田区
総務省や警察庁などが入る合同庁舎=東京都千代田区

総務省は31日の有識者会議で、携帯電話サービスなどで大規模通信障害が相次いだことを踏まえ、携帯電話大手4社など通信事業者の障害対応の人員や設備体制について同省が直接、モニタリング(監査)を実施するなどの新たな対策案を示した。これまで通信事業者の自主性に任せていた通信障害対策を大きく方針転換する内容で、総務省は省令など法令改正も今後検討する方針だ。

通信障害の原因や対策などを有識者で議論する電気通信事故検証会議で総務省は、通信障害の対策に当たる人員や設備、資金の態勢が十分かを事業者の経営層が毎年点検する「ガバナンス強化」、経営層が点検したガバナンスや設備の状況を改めて政府が監査する「外部モニタリング」などを挙げた。総務省幹部は、外部監査について電力や運輸など他分野では実施されているとした上で、「通信障害の影響は大変大きくなっており、政府として何も対策をとらないわけにはいかない」と述べた。

次回の会議で総務省は、外部監査などのほか、通信障害からの復旧手順の整備を義務化することなども含めて、対策の報告書案として提示する方針だ。ただ、31日の会議では参加した有識者から「通信事業者にヒアリングした上で制度化を考えていかないと」など、同省の方針転換に慎重な声も出た。同省幹部は「外部監査の実施について通信事業者から異論は出ていない」としたが、次回の会議で結論を得られるかは予断を許さない状況だ。

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