東急百貨店本店(東京都渋谷区)が31日、営業を終了し、開業から55年あまりの歴史に幕を下ろした。東急グループが進める再開発に伴うもので、この日は開店から大勢の買い物客が訪れてにぎわいをみせた。
東急本店は昭和42年11月に開業。建物の増築や改装を経て、東京屈指の繁華街である渋谷で営業を続けてきた。閉店時刻の午後7時を過ぎると、正面口の前で稲葉満宏本店長が「この店で皆さまをお迎えした55年の間、本当に素晴らしい、すてきな出会いに恵まれたことに心より感謝申し上げます」とあいさつ。シャッターがゆっくりと閉じた。
営業最終日の31日、来店客からは閉店を惜しむ声が聞かれた。祖母から娘まで4世代にわたり利用してきたという近所の女性(61)は「いろんな思い出があるだけに悲しい」。紳士用のベルトを買ったという墨田区の男性(71)は「閉店は時代の流れということなのかな」と語った。
渋谷では、100年に一度といわれる大規模な再開発が続く。東急本店は今年4月から本格的な解体工事が始まり、跡地には商業施設やホテル、賃貸住宅などが入る地上36階・地下4階建て、高さ約164メートルの複合施設が令和9年度の完成を目指して建設される。