高速道路3社、老朽化対策新たに1兆円 点検技術高度化で

首都高速=東京都千代田区
首都高速=東京都千代田区

東日本、中日本、西日本の高速道路3社は31日、共同で記者会見を開き、老朽化した道路施設の改修のため、新たに計1兆円程度を必要とする更新計画を公表した。点検技術の高度化などで新たな要対応箇所が見つかった。既に公表済みの首都高速と阪神高速の分を含めると改修費は計1兆5000億円。政府は令和47(2065)年までとしていた高速道路の有料期間を延長して財源を確保する方針。

3社は平成24年の中央道笹子トンネル天井板崩落事故を受け、事業費3兆円に上る改修計画を27年から実施。だが、その後の定期点検や、非破壊技術をはじめとした点検技術の高度化を踏まえた詳細調査の結果、新たな損傷や劣化の進行を発見。同じ施工方法の箇所なども調べたところ、約500キロ区間で改修が必要とみられることが判明した。

27年から実施中の改修計画は、3社の高速道路の総延長9663キロのうち約1360キロが対象だが、事業費は当初の3兆円から人件費や物価の上昇などで現在は約4兆円に上っており、改修費は今回分と合わせて5兆円に膨らんでいる。

高速道路をめぐっては、17年の旧道路公団民営化に伴い、政府が料金徴収を令和32(2050)年までとし、その後は無料開放する方針を定めた。だが、平成27年からの大規模改修の財源を賄うため、国土交通省が有料期間を15年延長、さらに今回の追加改修を踏まえて最終期限を2115年まで再延長する方針だ。

民営化時に今回のような大規模改修の必要性を予測できていなかったことについて、東日本高速道路の八木茂樹取締役兼執行役員は「通常の維持管理で50年以上もつとの認識だったが、高速道路は大型車の割合が多いなど構造物にとってダメージを受けやすい環境にあると後に分かってきた」と説明した。

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