侵略1年を前にプーチン氏演説か 「戦局好転」背景

ロシアのタス通信は30日、下院関係者の話として、プーチン大統領がウクライナ侵略の開始から1年の節目を迎える直前の2月20日か21日に上下両院に外交や内政の方針を示す年次教書演説を行う見通しになったと報じた。露軍の攻勢が伝えられる中、プーチン政権は戦況が好転したと判断し、年次教書演説の実施を決めた可能性がある。

プーチン氏は年次教書演説を原則として年1回行ってきたが、昨年は国民との対話行事や年末恒例の大規模記者会見とともに実施を見送った。露軍の苦戦などを受けた措置とされる。同氏自身も昨年12月、演説の見送りについて「情勢が変動しており、ある時点での結果や近い将来の計画を取りまとめるのは困難だった」と認めていた。

露軍は今月に入り、大きな損害を出しつつも、最前線である東部ドネツク州バフムト近郊の都市ソレダルを制圧するなど一定の前進を果たした。

ウクライナ国防省情報総局は、プーチン氏が3月までにドネツク州全域を制圧するよう露軍に指示したとみる。演説が行われれば、同氏は東部ドンバス地域(ドネツク、ルガンスク両州)全域の制圧という作戦目標を完遂する意思を改めて表明するとみられる。

一方、露経済紙ベドモスチ(電子版)は30日、露大統領府に近い筋の話として、2月下旬に中国の王毅前外相がモスクワを訪問し、プーチン氏と会談する可能性があると伝えた。プーチン氏は昨年12月、中国の習近平国家主席とのオンライン会談で、今年春にも習氏をロシアに招待する意向を表明。同紙は、王氏が習氏の訪露に向けた調整を行う見通しだとした。

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