コロナ・インフル初同時流行で対応苦慮 家族感染も

小児患者の診療を行う「クリニックばんびぃに」の時田章史院長=21日、東京都港区(同クリニック提供)
小児患者の診療を行う「クリニックばんびぃに」の時田章史院長=21日、東京都港区(同クリニック提供)

季節性インフルエンザが3シーズンぶりに全国的な拡大を見せ、新型コロナウイルスとの初めての同時流行に直面している。流行が抑制された間に免疫が低下したとされる子供の間でも蔓延(まんえん)し、新学期を迎えたばかりの学校では欠席者が続出。家庭内にインフルとコロナの患者が混在し、交互に感染し合うケースも報告されており、小児科のクリニックを中心に対応に苦慮している。

厚生労働省によると、全国の定点医療機関から今月22日までの1週間に報告されたインフルの患者数は計4万7366人で、1医療機関当たり9・59人。報告数が69人だった昨年同時期の685倍超となった。これに伴い、休校や学年閉鎖、学級閉鎖に追い込まれる施設も急増している。

千葉県内の小学校では今月に入り、6年生1クラスで発熱症状などを訴えた6人がインフル陽性となり、3日間の学級閉鎖とした。コロナ感染の報告も週1~2人ほどある状況が続く。

校内では室内のマスク着用などを徹底しているが、登校後に発熱する子が出るなど感染予防には限界もある。「卒業式など大きな行事も控え、プレッシャーを感じる」と男性校長は危機感を隠せない。

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定点当たり8・50人の患者が報告された東京都。港区にある小児科医院「クリニックばんびぃに」の発熱外来では1日20~30人を診療するが、このうちコロナ患者が約1割、インフル患者が約4割に上るという。

東京小児科医会理事も務める時田章史院長によると、患者の比率は今月に逆転。過去2シーズンはインフルの流行がなかったことで免疫の低い子供が多く、寒波による部屋の換気不足も相まって、さらなる感染拡大を招く恐れがある。免疫低下により、重症化リスクも高まっているとされ、特に乳幼児は警戒が必要という。

時田氏は「インフルの検査で正確な結果を得るには、発熱から6時間以上、できれば12時間以降の受診が望ましい。ただ、脱水が伴ってくると重症化しやすい。水分が摂取できない、受け答えが散漫になるといった症状が表れたら、直ちに医療機関を受診してほしい」と呼びかける。

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「多摩ファミリークリニック」(川崎市多摩区)は発熱患者には自宅でコロナの自主検査を済ませてもらい、陽性ならばオンライン診療で薬を処方している。薬は近隣の薬局からバイク便で配達してもらう仕組みも整え、患者対応の効率化を図ってきた。

だが、インフルの流行拡大により、これまでの流れに〝目詰まり〟が生じる恐れがあるという。

大橋博樹院長は「(一般向けの販売が解禁された)コロナとインフルの同時検査キットは一部で手に入りにくい状況にある。インフルの検査を求め、対面での診療を希望する人も増えつつある」と説明する。

患者の中には、親と子でコロナとインフルを別々に持ち帰り、その後に家族が同時感染してしまったというケースもある。同時感染すると、高熱や倦怠感(けんたいかん)などの症状が強く出ている印象があるという。

同クリニックでは発熱患者の対面診療は10人が限界で、これ以上の対応に踏み切ろうとすれば一般診療を制限しなければならない。大橋氏は「コロナもインフルも基本的な感染対策は同じ。感染が落ち着くまでは、人混みでのマスク着用などに努めてほしい」と語った。(三宅陽子)

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