プロ野球・埼玉西武ライオンズは30日、選手のコンディション管理などを目的に「スポーツ医科学サポートに関するパートナーシップ」を帝京大と締結した。選手のけが予防や早期回復、パフォーマンス向上を目指し、今季から連携して取り組む。
ライオンズはスポーツ医科学分野の強化に取り組んでいる。帝京大スポーツ医科学センターから専門スタッフの派遣を受け、球団本部内に「ハイパフォーマンスグループ」を新設。同グループはけがの治療や回復、運動再開までを一気通貫でサポートし、選手のフィジカル面強化で、パフォーマンス向上につなげる。これに伴い、グループに所属するチームドクターを昨季の1人から6人に、理学療法士も2人から4人へと増員する。
ライオンズの松井稼頭央監督は「選手にとってコンディションは非常に大事。すぐ近くに(医療体制が)あることは大きい。僕が現役のときにも欲しかった」と話した。後藤高志オーナーも「平成20年以来の日本一につながると確信している」と期待を込めた。
得られた知見は地域にも還元する。プロスポーツチームと連携した整形クリニックの運営を手掛ける「アスリートメッド」(東京都千代田区)は、ライオンズと帝京大に協力し、令和6年春にライオンズの本拠地「ベルーナドーム」の近隣に「ライオンズ整形外科クリニック」を開業。帝京大が派遣するチームドクターの増田裕也氏が院長を兼任し、高度な医療サービスを地域住民に提供する。
帝京大スポーツ医科学センターの河野博隆センター長は「プロスポーツ選手にやってきた治療がいろいろな面で一般の人に生かせるようになっている」と指摘。肘痛や手指に脱力感がある尺骨神経障害はアスリートだけでなく、一般の人にも見られ、超音波ガイドのもとで生理食塩水を注射する「ハイドロリリース」などの先進的な治療が行われるという。またアスリート同様、運動しながら治療する「アスレティックリハビリテーション」と呼ばれる方法が実践される方針だ。