令和臨調、2%の物価上昇目標の長期化を提言

緊急提言について会見する令和臨調の「財政・社会保障」部会の平野信行共同座長(右から2人目)、翁百合共同座長(右)ら=30日午後、東京都千代田区(鴨川一也撮影)
緊急提言について会見する令和臨調の「財政・社会保障」部会の平野信行共同座長(右から2人目)、翁百合共同座長(右)ら=30日午後、東京都千代田区(鴨川一也撮影)

経済界や学会の有志が政策を提言する「令和国民会議」(令和臨調)は30日、政府と日本銀行に新たな共同声明の作成・公表を求める緊急提言を発表した。2%の物価上昇目標を長期の目標として見直すことなどを求めた。日銀の正副総裁人事が佳境を迎え、政府と日銀の関係性に注目が集まるタイミングに合わせ、日本経済を成長軌道に戻す観点から提言をまとめた。

令和臨調のメンバーで、女性初の日銀副総裁候補として有力視される日本総合研究所理事長の翁百合氏らが記者会見し説明した。2%の目標に関して、翁氏は「できるだけ早期に実現するという目標から、長期の目標にすることで金融政策がより柔軟に動きやすくなる」と述べた。この提言を受け、外国為替市場では大規模な金融緩和の正常化が意識され、円相場が1ドル=129円台前半と、朝方に比べて1円ほど円高方向に進む場面もあった。

提言の新たな共同声明案では、財政支出の重点化や構造改革の加速に関する政府の責務も明確化した。改革の進捗(しんちょく)について定期的な検証も求めた。

会見に同席した三菱UFJ銀行特別顧問の平野信行氏は日銀による大量の国債購入が歳出拡大につながり、成長戦略や構造改革が後回しにされたと指摘し、「財政と金融政策は負の相互作用をもたらした」と訴えた。日銀による昨年末の国債保有残高は564兆円を超え、年末として過去最高を記録。国の財政を支える「財政ファイナンス」の懸念が強まっている。

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