WHO、緊急事態宣言を継続方針 時期尚早と判断か

春節の休暇期間が終わりを迎えるなか、マスクをつけて北京駅の前に列を作る旅行者=28日、北京(AP)

【ロンドン=板東和正】世界保健機関(WHO・本部ジュネーブ)は30日、新型コロナウイルスをめぐって2020年1月に宣言した「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を継続する方針を発表した。中国などでの感染拡大を受け、緊急事態宣言の終了は時期尚早と判断したとみられる。

WHOは今月27日、専門家らによる緊急委員会を開き、緊急事態宣言の是非や解除条件を巡り協議した。英メディアによると、協議の結果、緊急委は新型コロナが依然として危険な感染症であり、健康や医療に大きな被害を与える可能性があるとの考えで一致。緊急委の助言を受け、WHOのテドロス事務局長が緊急事態宣言の継続を決めた。

新型コロナをめぐっては、中国が昨年末、感染拡大を徹底的に封じ込める「ゼロコロナ」政策を撤回し、国内各地で感染が急拡大。死者も急増した。米国ではオミクロン株派生型「XBB・1・5」が年末年始にかけて猛威を振るっている。WHOは今月28日までに、新型コロナの世界の累計感染者数と累計死者数を更新。更新された速報値では27日時点での感染者は7億5251万人超、死者は680万人超と急増した。

緊急事態宣言は、感染症対策で国際的な調整が必要と判断される場合にWHOが出すもので、宣言に法的強制力はないが、各国に検査態勢の整備などを促す。

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