東京五輪・パラリンピックを巡る談合事件で、東京地検特捜部が、テスト大会の計画立案支援業務の入札と、落札した企業がその後に随意契約で受注した本大会の運営業務などを一体と判断し、独占禁止法違反(不当な取引制限)容疑で立件する方向で捜査していることが、関係者への取材で分かった。随意契約の総額は400億円規模に上る可能性がある。
談合が疑われているテスト大会の計画立案支援業務を巡る入札は平成30年に計26件実施され、広告大手「電通」や業界2位の「博報堂」など9社と、うち2社による共同事業体が総額約5億4千万円で落札した。
関係者によると、業務を発注した大会組織委員会大会運営局の元次長と、組織委に出向していた電通の担当者らが中心となり、企業側の応札希望の状況を取りまとめた「リスト」を作成。実際にほぼリスト通りの企業が落札し、26件の大半が「1社応札」だったという。
その後、組織委は計画立案支援業務を落札した9社に対し、テスト大会の実施運営や本大会の会場運営、競技運営などの複数の業務を、入札を伴わない随意契約で発注していた。
組織委関係者は取材に対し、「落札した企業に問題があれば見直せるように、テスト大会の計画立案支援業務と、その後の随意契約は切り分けていた」と説明。一方、特捜部は、入札前に組織委が配布した資料などに、落札企業がその後の随意契約を結べるといった内容の記載があったことなどから、今回の入札と随意契約は一体だったと判断しているもようだ。
特捜部の任意の事情聴取に対し、談合を主導したとみられる次長は否認し、電通の担当者らは事実関係を認めているという。