4月の統一地方選が迫る中、各地で無投票当選が増えたり、低投票率を更新したりする背景には、有権者の地方政治への無関心もある。「遠い世界」に映る地方議会を有権者が身近に感じるには何が必要か。地方自治に詳しい元鳥取県知事の片山善博・大正大教授のインタビューの後編は「選ぶ側」と議会の距離を埋める方策について聞いた。
いまの地方議会は地域住民を寄せ付けたくないという体質がにじんでいる。住民が議会にアクセスしようとすれば、議会の傍聴席に出向く。しかし、傍聴の「傍」は「路傍の石」の「傍」。「その辺の隅っこで聞いておけ」というのが傍聴席。発言の機会はない。じっと聞いているだけだ。
しかも、議会でやっていることは「学芸会」。そんな場所にわざわざ出向く気がしなくなる。議会に請願しても、その後の処理は議会任せ。手応えがないケースが多い。そんな扱われ方をしているから、議会へのアクセスはハードルが高く、住民は議員にお任せせざるを得ない。有権者として無気力になり、投票行動にも表れる。