産業プラント大手「東洋エンジニアリング」(千葉県習志野市)と食品卸大手「ユアサ・フナショク」(同船橋市)が千葉市緑区の工業団地に新たな事業拠点を建設する。千葉市は〝立地支援〟として、社員が市内へ転居した場合や市民を雇用した場合に2社に補助金を出すことなどで誘致に成功。さらに事業拠点を市内に新設する際などの〝立地後支援〟も進め、2社の千葉市への定着を図る。千葉市の神谷俊一市長は「市民の雇用や税収の創出が見込める」と期待している。
市企業立地課によると、両社には市の企業立地促進事業補助金を活用。令和5~8年、固定資産税と都市計画税相当分を補助金として支援する。雇用奨励補助として、新規の市民の雇用者や市内への転入者1人につき30万円を会社に補助。対象者が複数人世帯の場合には1世帯につき60万円を会社に助成する。立地後も市内に事業拠点を新設する場合などは市が追加投資まで支援する。
東洋エンジニアリングは技術開発強化や新しい環境整備を目的に「千葉土気(とけ)緑の森工業団地」へ技術研究所を移転する。
「脱炭素」に向け燃料アンモニアやグリーンメタノール(温室効果ガスをほとんど排出せずに製造されたメタノール)などの研究開発などを行うとしている。永松治夫社長は「研究を発展させることで、市内の雇用創出にも貢献できるのではないか」と話す。研究所の敷地面積は約1万3千平方メートル、投資総額は約10億円。11月末完成の予定だ。
ユアサ・フナショクは八街市にある千葉支店の老朽化に伴い、物流の効率化推進のため流通加工施設を工業団地「ネクストコア千葉誉田(ほんだ)」に新設する。県内のスーパーやドラッグストアといった食品小売店向けの商品を仕分け、配達する拠点となる。
山田共之社長は「千葉市の支援体制に大きな魅力を感じた」と進出理由を説明する。施設の敷地面積は約2万5千平方メートル、投資額は約35億円、来年4月末に完成予定だ。
両社の誘致について、神谷市長は「立地後の追加投資といった支援体制が評価された」と話している。