トヨタ自動車は30日、2022年のグループの世界販売台数が前年比0・1%減の1048万3024台になったと発表した。独フォルクスワーゲン(VW)の826万2800台に大差をつけ、3年連続で世界首位となった。ただ、足元では半導体不足による生産の減少で納車遅れが続いている。また、今後もトップの座を維持するには出遅れた電気自動車(EV)対応も欠かせない。
トヨタは競合他社と同様に半導体不足や中国の上海市のロックダウン(都市封鎖)の逆風を受けたが、影響を一定程度に抑えた。グループの台数はダイハツ工業と日野自動車を含む。世界販売が前年実績を割り込むのは2年ぶり。VWの世界販売は供給網の混乱が響き、7・0%減少した。
グループの世界生産は仕入れ先との緊密な連携で、5・3%増の1061万604台と2年連続で前年を超えた。ただ、トヨタ単独の国内生産は7・7%減の265万6009台で昭和51年(約249万台)以来、過去2番目の低水準だった。国内生産は高価格帯の車種が多い。高価格帯は「半導体の搭載量が多く、影響を受けやすい」(トヨタ)ことが響いた。
一方、海外生産は中国などが伸び、11・7%増の637万704台。海外販売は東南アジアや中南米が好調で1・7%増の827万7829台だった。ともに過去最高を記録した。
ハイブリッド車(HV)が中心の電動車の世界販売は4・0%増の272万6263台で、電動車比率は過去最高を更新した。
トヨタは4月に社長が豊田章男氏から執行役員の佐藤恒治氏に交代する。今年も半導体不足が続くとみられ、佐藤氏の手腕が問われる。今も新車の供給が追い付いておらず、納車遅れが続いている状況だ。
2023年のグループの世界生産は仕入れ先に基準値として上限1060万台と伝達している。ただ、約1割の下振れリスクを見込む。基準値の達成について、東海東京調査センターの杉浦誠司シニアアナリストは「部品調達の確保や災害などの危機管理の徹底が重要になる」と指摘する。
トヨタの22年のEVの世界販売は69・8%増の2万4466台だった。米テスラは約131万台、VWが約57万台で、トヨタは出遅れている。トヨタはEV専用の車台の見直しを検討するなど戦略を修正しているが、中長期的に首位を維持するには対応を急ぐ必要がある。(黄金崎元)