宗教法人法を問う

オウム事件機に改正の宗教法人法 透明化進むも制度に「緩さ」

オウム真理教に対する解散命令を求める22万5千人の署名簿を東京地裁へ運び込む弁護士たち=平成7年10月、東京・霞が関
オウム真理教に対する解散命令を求める22万5千人の署名簿を東京地裁へ運び込む弁護士たち=平成7年10月、東京・霞が関

国の認定数をはるかに上回る宗教法人が、休眠状態に陥っている可能性が産経新聞のアンケートで明らかになった。法人の管理運営などを定めた宗教法人法は平成7年、オウム真理教による一連の事件を機に、法人運営の透明化を求める機運が高まり改正された。それ以前は法人の実態を確認する法的根拠がなかったが、法人側に事務所備付け書類の写しの提出を義務づけ、解散命令の対象となりうる不活動宗教法人を特定することも可能になった。一方で改正を経てもなお、信教の自由への配慮などから、制度の「緩さ」が指摘される。

昭和26年に制定された宗教法人法は、法人の設立や解散、管理運営などについて規定。法自体が憲法で保障された信教の自由を侵したり、宗教上の行為を制限したりするものと解釈してはならないとも定める。

平成7年の改正では備付け書類の提出義務のほか、法令違反の疑いがある法人に質問、報告を求める「質問権」も設けられ、文化庁は昨年、世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に初めて質問権を行使。教団の組織運営や財産・収支の資料、教団による被害を訴えた民事裁判の確定判決の内容などの提出を求めた。

ただ、7年の法改正に際しては、国側と宗教関係者側との間で激しい議論も起きたとされる。焦点の一つとなったのが、法人側が必要書類の提出を怠ったり、虚偽報告をしたりした場合の罰則だ。

文化庁側が刑事罰の適用を検討したところ、宗教関係者側は反発したという。文化庁元幹部は「信教の自由への侵害という受け止めも少なくなかった。前科が付く刑事罰の罰金ではなく、過料10万円という行政罰に落ち着いた」と当時を振り返る。

その上で「宗教法人制度は、ほかの法人制度と比べて(規制などが)緩い。それだけに所轄庁が各法人の活動をしっかりと見極めなければならない」と話している。(「宗教法人法を問う」取材班)

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