飲食チェーンや食品大手が、とろりとした食感と濃厚な味が楽しめるチーズを好む消費者をターゲットにした商品を相次いで投入する。新型コロナウイルス禍を契機に、家庭でのだんらんとともにピザの需要が増えるなど食事の形態が変化。とろける様子が食欲をそそるチーズは食卓の雰囲気も楽しくしてくれる。さまざまな料理と相性が良く、活躍の場を広げる可能性を秘めている。
史上最重量のチーズソース
日本ケンタッキー・フライド・チキンは全国のケンタッキーフライドチキン(KFC)店舗で2月1日、「チーズにおぼれるフィレバーガー」を数量限定で発売する。価格は税込み490円。チキンフィレを2枚挟んだ「超チーズにおぼれるフィレバーガー」は同790円だ。
昨年2月に数量限定で発売し、好評だった同名の商品と同じくKFCバーガー史上最重量の約50グラムのチーズソースを使用。昨年はチェダー、クリーム、エメンタールの3種類のチーズを使っていたが、ゴーダ、パルメザンを加えて5種類に増やした。
ガーリックとペッパーを効かせて、チーズのコクと風味が感じられ、深みがある味わいを実現。柔らかくてジューシーなチキンフィレと抜群の相乗効果を生み出す。
商品開発者はチーズを使用した商品の検討を重ね、「チーズソースに骨なしケンタッキーを漬けて、チーズまみれにする」という案もあったが、チーズ好きの消費者に味でも見た目でも満足してもらえる結果を追求した結果が「チーズにおぼれるフィレバーガー」だったという。
コロナ禍でKFCはテイクアウト需要が伸びたが、昨年3月にコロナのまん延防止等重点措置が解除されてからは、店内飲食を主力とする他業態に顧客が流れている。味や見た目でインパクトのある商品の投入で、顧客離れを食い止めたい考えだ。
使い方は無限大、食卓を「イベント」に
ハウス食品が2月13日に発売する「まぜのびチーズソースの素」は、家庭料理の味や見た目を手軽にグレードアップできる商品だ。顆粒(かりゅう)にお湯を注いで混ぜるだけで、まろやかでコクのあるチーズソースを簡単に作ることができる。
税別参考小売価格は258円。キーマカレー、チーズフォンデュ、パンケーキ、スナックなど多彩なメニューにかけたり、つけたりするなど「アイデア次第で使い方は無限大になる」(ハウス食品)という。主なターゲットは、4歳~小学生の子供がいるファミリー世帯だ。
商品の開発プロジェクトが始動したのはコロナ禍に突入して間もない令和2年5月。家庭内食の機会が増え、「日々の食卓をできるだけ楽しく、イベント化したい」という消費者のニーズが高まったことがきっかけだった。企画を進めるなか、「ラクレットチーズをはじめとするチーズをたっぷり使ったメニューが外食やコンビニエンスストアなどで〝映える〟メニューとして増加傾向にあることに着目し、開発に至った」(ハウス食品)という。
人気ピザ店の味を通販で
チーズをふんだんに使った料理の代表格といえば、ピザ。コロナ禍を契機に宅配ピザの需要も増えるなか、通販を利用して本格的なピザを家で味わうこともできる。
スタイリングライフ・ホールディングス傘下のライトアップショッピングクラブは1月27日、東京・丸の内の人気ピザ店「イゾラスメラルダ」の大田勇樹シェフが監修したピザを発売した。
月替わりの創作ピザと、マルゲリータ、マリナーラ、ビスマルクといった定番ピザ、デザート感覚で味わえるドルチェピザの3種類を組み合わせて提供。3~8月の毎月下旬に、3種類のピザを2枚ずつ計6枚配送する。各月の価格は税込み6480円。申し込みは2月28日まで受け付ける。
いずれのピザも直径約15センチの愛らしいサイズ。8月に提供する創作ピザはイタリア・トスカーナで親しまれるレバーのパテをチーズと合わせた「トスカーナの田舎風パテ」だ。パテから漂うオニオンやピスタチオの風味とまろやかなチーズを胡椒が引き締め、赤ワインにぴったりの味わいになっている。
普段の食事だけでなく、お祝いの席でも映える創作ピザは食卓を華やかにしてくれそうだ。(宇野貴文)