【ソウル=時吉達也】いわゆる徴用工訴訟問題をめぐり、日韓両政府は30日、ソウルで外務省局長協議を行った。日本外務省は「当局間の意思疎通を継続していくことで改めて一致した」とする一方、協議の具体的な内容は明らかにしなかった。局長協議の開催は昨年12月下旬以降で3回目。韓国政府は2月中の解決案公表を視野に最終調整を進めており、日韓当局間の協議が加速している。
韓国政府は今月12日に開催した討論会で、韓国最高裁で敗訴した日本企業の「賠償」支払いを、韓国の財団に肩代わりさせる案を軸に検討していると公表。16日の局長協議で日本側に状況を説明した。
協議では、弁済を肩代わりした財団が、将来的に賠償金の返還を日本企業に求める「求償権」を放棄するかが焦点となっている。韓国側は「誠意ある呼応」措置を求めており、日本政府は韓国を輸出管理で優遇する対象国に再指定し、対韓輸出管理を緩和する方向で検討している。
訴訟の原告らは討論会後「被害者の立場が反映されていない」などと主張。政府案に強く反発している。
日本の朝鮮半島統治時代の独立運動記念日で、反日感情が強まる3月1日を控え、韓国政府は2月中の最終案公表に向け大詰めの調整を進めている。聯合ニュースは30日、大統領府高官の話として「尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領の2月中の訪日予定はない」と伝えた上で、「早ければ3月に(尹氏が訪日し)首脳会談が行われる可能性がある」と報じた。