フィリピンの複数が指示か 狛江強盗殺人は「キム」

渡辺優樹容疑者
渡辺優樹容疑者

全国で相次ぐ強盗事件で、フィリピンの入管施設で身柄を拘束されている日本人の男4人が事件ごとに指示役を変えたり、複数人で同一のアカウントを使い回したりしていた可能性があることが29日、捜査関係者への取材で分かった。事件では、「ルフィ」や「キム」、「三ツ橋」などと名乗る複数の指示役がおり、東京都狛江市の強盗殺人事件前に指示を出していたのはキムだったことも新たに判明。警察当局はフィリピンから複数人で指示を出していたとみて調べている。

捜査関係者によると、フィリピンに拘束されているのは渡辺優樹容疑者と今村磨人(きよと)容疑者ら男4人。2019年にフィリピン入国管理局が特殊詐欺事件に絡み日本人の男36人を拘束。渡辺容疑者らはこの特殊詐欺グループの幹部らとみられ、警視庁が窃盗などの容疑で逮捕状を取得している。

捜査関係者によると、東京都稲城市と中野区で昨年起きた強盗傷害事件などで押収した携帯を解析した結果、ルフィやキム、三ツ橋などと名乗る複数の指示役の関与が浮上。逮捕された実行役らは高額報酬をうたった闇バイトに応募後、ルフィらから連絡があり、秘匿性が高い通信アプリ「テレグラム」などで日時や場所、手口の指示を受けていたという。

捜査関係者によると、稲城事件で逮捕された男は、ルフィと電話などでやり取りする中で、指示役の声が変わったことに気が付き、「前の指示役はどうしたのか」と聞いたところ「死んだ」と言われたという。また、テレグラムのチャット内で、ルフィが「俺は三ツ橋だ」と名乗ることもあったといい、複数人が入れ替わりながら、アカウントを使い回して指示を出していた可能性がある。

一方で、東京都狛江市の強盗事件の発生前、殺害された大塩衣与(きぬよ)さん(90)宅の住所を、中野事件で逮捕された男の携帯にメッセージ送信していたのはキムだったとみられる。

ルフィやキムからの電話がフィリピンから発信されていたことなどから、渡辺容疑者らの関与が浮上し、警察当局は、現地当局に日本への4人の身柄の引き渡しを求めている。

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