日本教職員組合(日教組)の第72次教育研究全国集会(教研集会)で29日、政府が世界文化遺産登録を目指す「佐渡島(さど)の金山」(新潟県)を巡り、朝鮮半島出身者を強制労働に従事させたとの認識を一面的に訴える学習指導の実践例が報告された。いわゆる徴用工訴訟問題を巡る日韓両国の交渉が続くなか、「強制労働には該当しない」とする政府見解には十分に触れずに偏向的な指導が行われている教育現場の実態が浮き彫りとなった。
指導の実践例が報告されたのは、平和教育を話し合う教研集会の分科会。佐渡金山のおひざ元である新潟県の高校教員が、有志の生徒を対象に行った「自主学習」の内容をまとめたリポートを分科会に示した。
この自主学習では、生徒らに佐渡金山の歴史について考えさせるための材料となる資料を提示。その記述の多くは、近代以降の朝鮮半島出身者の労務動員の強制性や賃金差別を指摘する文献の引用が占めた。