北方四島周辺水域での日本とロシアの漁業協定交渉が滞っている。ロシア側に協力金を支払うことでロシアが領海と主張する同水域で日本漁船の漁を認める「安全操業」について、ロシアは今年の操業条件を決める交渉に応じない方針を示した。ロシアのウクライナ侵略を巡る日本の対露制裁への反発とみられる。安全操業以外の3つの漁業協定交渉にも影響が及ぶ恐れもあり、北方領土周辺での漁業制限が続きそうだ。
「ロシア側の対応については到底受け入れられるものではない。日本漁船の操業を確保するため、一日も早い協議を進めたい」。野村哲郎農林水産相は27日の閣議後会見でこう述べ、四島周辺海域から漁場を変えて操業する漁業者を対象に、操業経費の一部を支援する方針を示した。
安全操業協定は日露間に4つある漁業協定の1つ。四島周辺でロシア側による日本漁船拿捕(だほ)が相次いだことから、日露両政府は平成10年、北方領土の主権問題を棚上げする形で安全操業協定を締結した。ロシアが主張する領海で、日本側がロシア関係機関に協力金を払ってホッケ漁やタコ漁などを行う仕組みだ。